〜歯科技工士になるために〜
適性について
歯科技工では、芸術的な意味での技術(ワザ)よりも、科学的な知識に裏打ちされた丁寧で正確な技術が要求されます。入れ歯や冠などの義歯は生体の一部となる人工臓器ですから、生体に害のない衛生的な製作物でなければなりません。そのためには知識も技術も“精確”(精密で正確)であることが求められます。
さまざまな素材や道具を駆使して生体に害の無いものを製作するためには、それぞれの材料の生体に対する適合性も重要です。歯科技工士の“精確”な技量によって回復する形態の良否が大きなウェイトを占めていると言えますから、技量が重要であることは間違いありません。
歯科技工士養成機関
歯科技工士を養成する学校は全国に55校(平成24年2月現在)あり、高校卒業以上の者を入学資格としています。
設立母体別の種類としては、国立大学附属学校、国立大学歯学部附属学校、地方自治体の公立学校、私立大学歯学部附属学校、歯科医師会立学校、歯科・医療関係者による私立学校に分類されます。形態としては多くが専修(専門)学校ですが、4年制大学や短期大学もあります。
修業年限は2年制、3年制、4年制があり、各校がそれぞれ“建学の精神”に基づいて特色ある教育指導を行っています。
国家試験と免許
歯科技工士養成機関において所定の全課程を修了し、卒業見込みの者は、厚生労働大臣の定める歯科技工士国家試験を受験することができます。国家試験の内容は、知識審査のための「学説試験」と技術審査のための「実地試験」があり、毎年1回、2月中旬から3月中旬にかけて都道府県ごとに行われます。この試験に合格すると、約2週間後に都道府県知事の公示によって合格証書が発行されます。
その後、この合格証書と免許申請の必要書類を住所地の保健所に届け出をし、歯科技工士名簿に登録されることで、厚生労働大臣による歯科技工士免許を取得することができます。
~歯科技工士の就業先~
歯科技工所
歯科技工所では、歯科診療所や病院からの発注を受け、歯科技工物の製作から納品までの一連の作業を行います。歯科技工士の資格があれば歯科技工所を開設することができるので、将来的に独立開業を視野に入れている方にとっては、歯科技工技術を磨くと同時に経営方法なども学ぶことができるでしょう。
歯科診療所
歯科診療所では、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が、それぞれ仕事を分担して歯科医療に従事しています。歯科診療所で働く一番のメリットは、患者さんと接する機会があるため、自分が製作した技工物の良し悪しがその場で分かることです。
病院
歯科を設置している総合病院や歯学部附属病院などには、歯科技工室が設けられ、そこで歯科技工士が仕事をしています。病院は歯科診療所とは違い特殊な処置を必要とする患者さんが多いため、求められる技工物も多岐にわたります。高度な技術と知識が要求されますが、幅広い症例に関わることができます。
歯科器材・材料メーカーなど
歯科技工士としての知識や技術を生かし、歯科器材や材料の研究開発に携わります。展示会やセミナーなどの場で新器材のデモをする機会も多くあります。
教育機関
後進を育てるために歯科技工士養成機関に就職する人も大勢います。
海外での活躍
日本の歯科技工は世界的に高い評価を受けており、多くの日本人歯科技工士が海外で活躍しています。その理由としては、日本における歯科技工士教育が世界的に高いレベルで確立されており、現地で基礎教育を行う必要がないことが挙げられます。